空の色は水の色 雲の色は水色

天然…魔法の言葉,天然。
類義呪文に自然って言葉もある。

天然の寒さから遮断され,
寒いはずの冬にコートを着込むのが不快になってしまう不自然な世界。
そんな世界で寝て起きて食べて飲んでいるから,
天然って貴重そうだし,自然って言われたら何か良さそうと感じてしまう。

いやいや危険な自然は多々ありますよ?
自然=良いなんておかしいでしょ。
原発放射線は悪で天然の放射線は良いみたいな笑い話ね。
いやもうめんどくさい,危険な天然も自然だからいいんだよ。
死ぬのも滅びるのも自然だし。

水の色が本当は透明で,
水の表面は本当は鏡のようで,
映しだされた色が水の色で水色だとしたら。
閉じ込められた天然は,
水色のようにやっぱり少し薄くて a little lighter で,
何となく納得できるようなできないような気がしたのだった。


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時の流れは優しいだろうか。辛い一面ばかり見る一年だった。
そんなことを言っても仕方がないのだ。
全ては時の流れにさらされ風化してゆく存在。
だけど私は悟ることもできず、いつもいつも、
ただひたすら時の流れを怨み、ただただ苦しみに耐えている。
かつて輝くように大切だった何かは今になって台無しにされ、
あるいは惨めに哀しく衰えてゆく。
胸を突き刺され息もできず喘いでいるのに、
何が何でも見据えて受け入れろ、こんなの序の口なんだよと、
時は淡々と宣告する。そうだよわかっている。
澱まず流れ去る時の旅は後半になるほど辛くなるだろう。
耐えられそうにないからもうここいらで退散させてくださいと
誰に願っても叶えられぬ空しき願いを心に描き、
行き場のないやるせなさに対抗する手段を探し、
結局はただそっぽを向いて、ため息をつく。
何もかも奪われたら、いつかこの世に未練もなくなるだろう。



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金木犀も香らないこの街で

金木犀も香らないこの街で
わたしはひたすら彷徨い歩く。
記憶の中の過去の日を。
記憶の中の青い空を。
記憶の中の冷たい空気を。
 
金木犀も香らないこの街で
わたしはひたすら心を閉ざす。
記憶が零れないように。
記憶が色褪せないように。
記憶に埋もれて心が崩れないように。
 
金木犀も香らないこの街で
わたしはひたすら待っている。
いつか帰れる日を。
いつかどこかへ帰れる日を。
いつか帰りたいと思わない日を。
 
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