時は幻の風

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失ったものは失ったもの。
泣いても嘆いても戻らぬことなど明白なのに、何故悲しむのか。
何故涙は諦めぬ。何故物理的には健康な筈の胸が痛む。
何故身体は本人の事情を無視して全力で辛さを支援する。
全ては気持ちの持ちようだから黙って淡々と乗り越えるがよかろう。
その頭脳の結論に何故心は従わぬ。