月の光に凍える夜は

 誤解されても濡れ衣を着せられても、黙っていることが増えてきた。心が広くなったわけではない。内心は穏やかではない。ただ自己弁護にエネルギーを使うことが面倒になってきた。誤解されようがされまいが、大抵のことはその場限り我慢すればそれで終わる。人生を左右することもないし、自分の評価が大いに変わることもない。黙っていれば気分を害しているのは自分だけ。自己弁護など始めれば相手の気分まで悪くなる。それは面倒だし自分の気分も更に悪くなる。率先してこれ以上気分を悪くする必要もないだろう。

 宣言は自分を縛り、聞いた相手に負担をかける。そして聞き手の反応にある程度の自分をゆだねる行為でもある。自分の意志決定に相手を巻き込むということだ。だから何かの決意は黙ってただ実行に移したい。口に出す必要の無いことをわざわざ口に出さないだけの克己心を。
 
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