2014/03/10 22:30:00

 本を抱えて浜辺でひとり、木陰にすわる夏の午後。
 日射しは明るく空は碧く風は心地よく、家族連れや恋人達の笑顔は輝いていた。
 夏休みの一日は限りなく特別に過ぎてゆく。
 輝く人々を眺めながらそっと本を閉じ目をつむる。何故羨ましくないのだろう。
 私は本気で独りがよかった。涙が出るほど寂しくても独りがよかった。
 そう思う自分がさらに寂しかった。