生きた時間と残った時間

 長い時間を生きて年齢を重ねたら賢くなれそうなものなのに、どうしてこう逆のことが起こるのだろうか。
 私は自分の人生が先細り始めているのをひしひしと感じている。ましてや私の親などいつ何が起こってもおかしくない高齢で、しかも遠くに住んでいるからこの世で会って話せる時間などもうあまり残っていない。
 なのに、そのほどんど残っていない時間さえも、どうあがいても、どう頑張っても有効に使うことはできないらしい。色々とままならぬ事情ばかり発生して身動きがとれないし、感情はすれ違うばかりだ。

 生きた時間の分だけ不自由になっている。努力しても努力してもその呪縛を破る方法が見つからない。悲しくて残念なことだ。