優しい光に包まれて

　2011年12月3日午後2時を過ぎたところのケンジントン・ガーデンズ。
　ヴィクトリア女王が生まれ、故ダイアナ妃が暮らしたケンジントン宮殿を取り囲む広い庭。

　12月上旬のロンドンの太陽は、低く低く眠たそうに、南の空をのそのそと歩いてゆく。一日中夕暮れのような角度で射す陽光。それは曇りや雨の日には陰鬱な雰囲気を作っている。
　けれど、ピリピリと刺すように冷たい晴れた午後、遠く低い位置から木々を照らし出す柔らかい光はとてもとても優しくて、得も言われぬ柔らかな空気の美しさに涙が溢れ出しそうだった。