風が運んだ時間

袖が膨らんだシフォンのブラウス。
ピンクのコールテンの長いジャンパースカート。
肩に白猫を乗せていた15歳。
猫のように真っ白な未来を抱えた春休み。
黒雲を押し流す嵐のような風に乗って、
どこかへ飛んで行った気がした。
 
たぶんそれは、今日。
2015年4月。不穏な雲が流す黒雲はあの日の続き。
沢山の時を見送ったのに私は生きていて、
東へ東へ流れ東京を歩いている。
15歳の日とあまり変わらない心を持て余しつつ、
夢のように空に恋い焦がれつつ。
 
まだ時間が残されているならば
風よ私を再び飛ばしてくれまいか。
生き続けていられるように。
生きて未来へ歩めるように。
 
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