往きて君を想ふ


闇に向かって踵を返した。
終わったのだ、次はない。
潔く生きてゆこう。
足取り軽く星を見上げ忘れよう。
果てしない闇へ踏み出そう。
 
十年歩き、二十年歩き、
三十年歩いた。
幾許の夢に惑わされ、
果てることない闇と馴れ合った。
 
静か。今は静か。
思い出も現実も今はかすか。
闇も光も空も大地も、
今はセピア。
潔く、なれなかった。
 
141114-214509