月桂冠

 東京メトロ千代田線の車両が凄い勢いで16000系に変わっている。最近では6000系を見かけることの方が少なくなってきた。さすが東京、お金持ちだわ!
 有田焼ストラップまで発売された自慢の16000系。彼らが誇らしげに掲げているローレル賞のステッカーを見るたび、私は同じデザインのステッカーをつけて陽気に走っていた故郷の電車たちを思い出し、ちょっと切ないような気持ちになる。

 故郷って私にとって無条件で愛せる場所ではない。
 溶け込めない場所だったし、公私にわたり幸せな思い出がない、ある意味敵のような場所。振り切るように逃げ出した場所。それなのにたまらなく懐かしい。
 とりわけ故郷の電車たちを愛してしまったのは、人間以外のものを擬人化して相手にしているときは幸せでいられたからだとおもう。

 メトロのホームで月桂冠を見上げ、今日もよくわからない郷愁を封じ込める。

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