溶けゆく雪のただ中で

 血の繋がりがあろうとなかろうと、人と人との関係の何と脆いことだろうか。
 大切だった時間、温かだった思い出、何もかもが一つの事象で無に帰する。
 失ったものは二度と戻らないし、壊れたものは壊れたままだ。

 自分の力ではどうしようもないことばかり。
 せめて自分の力で防げることなら防ぎたい。

 誠実でありたいと思う。
 今わたしと共にある全ての関係、そう、例えばこれを読んで下さるあなたとの関係も
 壊さずにいたいから。

 ただ、誠実の定義は人によって違いすぎる。
 違いすぎて手に負えなくて、途方に暮れる。