お人形の不思議

 新しいお人形を買って最初に撮る時、お人形はちょっと緊張した作り笑いで頑張ってくれる。「この人に気に入ってもわらなければ、私に未来はないわ!」と必死みたいで、すごく健気。たとえばこの写真がそう。
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 一昨日の記事のお嬢さんの、最初のショット。そんなに無理して微笑もうと頑張らなくてもいいんだよ、と言ってあげたくなるけれど、おそらく撮影者である私の緊張がそのまま人形の表情になってしまっているのだろう。付き合いが長くなるにつれ、お人形は打ち解けた表情で写ってくれるようになる。

 ところが不思議なことに、誰かに長い間可愛がられてきたお人形は、初めて会った瞬間からよい表情を見せてくれる。このお嬢さんは友人が20年以上可愛がってきたお人形なのだが、初対面の私にこんな柔らかい微笑みをくれた。
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 お人形に限らず長い間遊ばれてきた玩具って、どこか満足そうな、独特の雰囲気を醸し出す。生命があろうとなかろうと、この世に生み出され、人と共に過ごし、いつか役目を終えて形を失う。製造された瞬間から各々別々の運命を背負っている。物は所有する人に育てられているとも言えるのか。