poem
白い冬の温かさに包まれて 深く深くうずもれて 君の手をとり祈りたかった 春なんて来ぬように 手を離さずいられるように
君と出会った三月だから 君と別れた三月だから肌寒い月夜も 霞んだ青空もみんなみんな大好きで みんなみんな大嫌いもう振り返ってもいいよね 思い出せなくなったから君の顔も 君の声も時の流れは不思議だね 今も変わらず大好きなのに
闇に向かって踵を返した。 終わったのだ、次はない。 潔く生きてゆこう。 足取り軽く星を見上げ忘れよう。 果てしない闇へ踏み出そう。 十年歩き、二十年歩き、 三十年歩いた。 幾許の夢に惑わされ、 果てることない闇と馴れ合った。 静か。今は静か。 思い…
胸がいたいな。くるしいな。 でもね、楽しさも悲しみもみんなうたかた。 全てはこの世という旅路の遊びの一コマ。 刹那に過ぎ去り、忘れ去られてしまう。 今ここにいる私自身さえ。 だから悲しくても大丈夫。 その場限りの薬味みたいなものなのよ。 理通りに…
共有相手のいない思い出なんてのはね 記念になるものなんて何一つ残さず ただ頭の中の引き出しに仕舞い込んで あぁそこに入っているよねと 引き出しを開けずに思うだけにしとこうね
暗く寒々とした空を待ちわびて 吹きすさぶ風になりたくて 悲しいほどたくさん天を仰いだ イルミネーションの輝きが凍り付く だからほんのひととき生き返ろう 君と過ごした冬を記念するために 風よアスファルトの熱を奪うがいい 冬の命を守っておくれ 春がわ…
あまりにも、あまりにも繰り返し、同じ場所で同じ電車を見送ったから、 もうあれが夢だったのか現実だったのか、わからなくなっちゃった。 夢だったらいいな、心が痛まないもの。でもたぶん現実だったね。 幾許もの季節をすり抜けて、記憶は君の元へ帰りたが…
満ちあふれた言葉の行き場所がないから あらゆる場所で少しずつ少しずつ 小分けして小分けして吐き出していく どれが私の本音なの どれが私の心なの 満ちあふれる想いは変化に富みすぎていて どれもこれも嘘偽りない本物で 切なげに悲しげに嬉しげに物憂げに…
雑踏の無数の影の一つになろう 僕は僕でなくなって 色とりどりの光に導かれ 君の夢の中へと歩いてく 淡い意識の底で一夜限りの夢になる
キライだったモノを好きになり 好きだったモノは色褪せた それほど長い時が過ぎてっただからそろそろ忘れてもいい だからもう忘れさせてはくれまいか空が碧いから 光が優しいから 今日も痛いほど鮮やかだ
スザンヌ・ヴェガを聞くたびに、 サイモン&ガーファンクルを聞くたびに、 最後の春がいつまでも疼く。 あんまり好きじゃないと思ってた。 面倒なひとだと思ってた。 なのにいなくなったら何年も寂しいだなんて。 だから今日も聞くのだろう。 Tom's Dinerを…
忘れられる世界にとどまって 忘れられる愛を抱えていよう 忘れられる世界が終わるまで
冷たい風に吹かれて 遠い記憶は飛ばしてしまおう灰すら残さず焼き尽くし 彼方の空へ返してしまおう忘れたころに見る夢も いつか繰り返さなくなったから
幽けきは紅に染まりし命の扉 幽けきは明日を信じぬ今日の夢 幽けきは愛し愛せぬ心の軌跡
あなたをさがして わたしは涙を失った木漏れ日が囁いても 風が笑っても 星が踊っても思い出は色褪せすぎて わたしの笑顔も色褪せたあなたを想い思い出し 雨になる土になる
風が吹くから心を晒した 春紫苑は笑う月が泣くから夢を捨てた 春紫苑は笑う僕らの時が幾許過ぎて 僕らの愛が幾千死んで春紫苑はやっぱり笑う 春の野でいつも いつかの春に僕も野原で笑っていよう。
毎朝笑いかけてくれた桜の木を ただただ懐かしく思うのです 赤く光を放った葉を宝石のようにまとい 朝の喜びを告げて輝いた秋の朝 花嫁衣装のような花びらで 誇らしげに微笑んでいた春の朝 硬くつぼんだ希望を枝に 寒さに凜々しく背筋を伸ばした冬の朝 小鳥…
時は止まったままなのに 心はすくんだままなのに 黄色い花が風に揺れ 茶色い小鳥が空を舞い 緑の風が髪を撫で 美しさが哀しくて 煌めきが寂しくて 思い知るのだ 消えやしない君の面影 花影に消えた君は幻だったのか。
言葉も沈黙も 本音も虚言も 感性も理性も気がつくと凶器涙も笑顔も 真心も情熱も 裏切ってゆく優しさはどこ 愛しさは貴方に会いたい 今はただ、あなたの冷たさが心地よい。
若葉の緑が優しかったから 君を溶かしてしまおうと思った もう終わりだよ哀しみの時間 僕は先に行ってるよ 途は続く。哀しみは忘却の魔法に預けよう。
知っていたわ最初から 守られるはずない約束だって それでも何もないよりよかったわ 刹那の鎮痛剤にはなったもの 約束を果たしたかった心は真実 だからわたしは立っていられた 坂を上りつめると、そこは約束のない世界。
宵闇の金粉に抱かれて ひたすら君を追いかけよう 松の梢も 軒下の口づけも 溶けてゆく 消えてゆく
愛してしまうみんなみんな ひとときの夢みんなみんな ひとひらの雪凍えてしまえさむく冷たく もっともっともう愛さない 誰も何も君も
愛しい日常 ただ同じように過ぎてゆけ何も変わらなくていい 誰も何もみんなすべてただまわって同じように 誰も何も君も僕も
どんなに優しい言葉もまなざしも 束の間の花なのだ 明日を待たずに散りゆくさだめ 消えてゆく きらめいた笑顔の面影も 抱きしめた残り香さえも
誰かが過ごしたかつての時間 わたしが過ごす昨日と今日と 闇の向こうの遙かな明日 愛おしくて寂しくて哀しくて 黄昏と木枯らしに凍えていれば慰められた
さがし続け幾星霜 夕陽に溶けたあの日から 慕い続け幾風霜 引き裂かれたあの日から 数多の輪廻が吾らを隔て 記憶は今も君を求む
また一つ 君のいない季節が増えました 僕はがむしゃらに漕ぎ出して オルフェウスのように振り返りたいのを我慢して ただ前だけを見て進んでいます 九月の海は静かです
光の向こうに風の向こうに、いつもあなたの笑顔があった。
一点の陰りも無く 降り注ぐ陽光のように迷い無く 時の流れのように限り無い そんな愛情を恋情を かつて信じていたかもしれない 自分だけは持っていると 独りよがりであろうと 思い上がりであろうと その純粋さを羨ましく思う