濃くなってゆく夕闇の中で

最近はみんな略すのが好きだね。 ラジオから「シュウカツ」って言葉が聞こえてきて,今の私に関係があるのは「終活」だから,まずその文字を思い浮かべた。しかし,続く話題は「就活」だった。まぁよくある勘違いだが,何だかなって気分になった。えらく違い…

さよならの朝

人間に聞こえる声を植物は発しないかもしれない。 だけど彼らは生きていて,色々なことを知っている。 沢山の植物たちの世話をしながら過ごしてきて,それは確かだと思っている。 彼らは世話をしている私のことを知っているし, 彼らは私がつくる環境の下で…

迷い道

そういえば運転免許をとるために教習所で路上教習に出始めた頃, こんなに標識ばかりでは,標識を見るだけで事故を起こしそうだと思った。 そしていつの間にか,魔法がかかっていた。 標識を適度に頭脳から追い払い見えなくする魔法。 人生の道のりも同じだ…

春は迷い

春休みの肌寒い宵を最後に君と歩いた日 埃の匂いに紛れた微かな春の気配を たぶん死ぬまで忘れないと思った 今は時の果てで道標となったあの宵に 二度と聞くことのない声の気配をさがす 空より遠ざかった大切だったものたちの行方 青かった春の亡霊は未だ憚…

my dear

本当に辛いこと、最悪なことに関しては、 ただただ押し黙るしかない。 勿論こんなところに書いて吐き出すなんてもっての外。 尽き果てるまで一人で抱え込むしかないのだ。

my dear

正解がない価値観を取捨選択する正解がない人生の中で 正解がない感情に翻弄されて疲れ果て たまに心の奥底で疼く正義感に気づいては自分の無力さのあまり急いで蓋をする。 まぁいいよ自分が今とりたてて深刻な問題をとりあえず回避しているのなら…。 思い出…

夢でいい

忘れられる世界にとどまって 忘れられる愛を抱えていよう 忘れられる世界が終わるまで

三月、皇居のお堀にて。

東京で迎える最後の春だから、 皇居に桜を見に行った。去らねばならない。 大好きで大好きな東京を。 たくさん泣いて諦めた朝。 根無し草の人生だもの、 わかってたこと。白鳥の白はまぶしくて、 美しくて清らかで悲しくて。 時が止まってくれたら、 このま…

空の色は水の色 雲の色は水色

天然…魔法の言葉,天然。 類義呪文に自然って言葉もある。天然の寒さから遮断され, 寒いはずの冬にコートを着込むのが不快になってしまう不自然な世界。 そんな世界で寝て起きて食べて飲んでいるから, 天然って貴重そうだし,自然って言われたら何か良さそ…

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時の流れは優しいだろうか。辛い一面ばかり見る一年だった。 そんなことを言っても仕方がないのだ。 全ては時の流れにさらされ風化してゆく存在。 だけど私は悟ることもできず、いつもいつも、 ただひたすら時の流れを怨み、ただただ苦しみに耐えている。 か…

金木犀も香らないこの街で

金木犀も香らないこの街で わたしはひたすら彷徨い歩く。 記憶の中の過去の日を。 記憶の中の青い空を。 記憶の中の冷たい空気を。 金木犀も香らないこの街で わたしはひたすら心を閉ざす。 記憶が零れないように。 記憶が色褪せないように。 記憶に埋もれて…

時は幻の風

失ったものは失ったもの。 泣いても嘆いても戻らぬことなど明白なのに、何故悲しむのか。 何故涙は諦めぬ。何故物理的には健康な筈の胸が痛む。 何故身体は本人の事情を無視して全力で辛さを支援する。 全ては気持ちの持ちようだから黙って淡々と乗り越える…

旅立ち

別れるのは苦手だ。人とも物とも過去とも。 いくら「出会うは別れの始め」が世の理であっても、現実の別れを目前に少しも慰めにならない。 潔く別れを受け入れられないから、一縷の希望を見いだそうと「またね」と言って現実から逃避する。 だが一方で、「さ…

巡る時の中で

切れなければ ほんの少しでも繋がっていれば 縁はいつか巡ってくることもあるだろう。だから無縁なんて言わないで。言わないで。 心で泣きながらのぼった無縁坂。

いつかまた時の向こうで

寂しくないから期待はしない。 居場所がないなら帰らない。 遠いなら忘れよう。 記憶なんて負担なだけだ。 そう思ってやってきたのに。 それが生きるすべなのに。 たまに現実は裏切るね。 ごくたまに。 だからたぶん明日も生きる。

旅の途中

たぶんわかっていた。 留まれないのだってこと。 過ぎゆく光景だってこと。 愛しても愛してもこぼれ落ちてゆくのだってこと。 見えない果てに向かって車窓のように。 人生のように。人生だから。 ごめんね。悲しいね。寂しいね。 でも仕方がないんだよ。 黙…

思い出なんて

もう会いたくないのです,記憶の中の日々なんて。 死に向かって突き進むには邪魔すぎる。 立ち止まって振り返って,いったいそれが何になろう? 必要最小限度の思い出は大切に持っている。それで十分。 あなた方は今の私の血肉になって消えたのです。 だから…

書架の前で

私が育った地域では,12月24日は学校の終業式だった。 学校はいつもよりかなり早めに終わるから,その後一人で本屋へ向かう。いつもは買えない高額な,といってもせいぜい2000円程度の天文書を,この日だけは買うことを自分に許す。14歳の頃から10年くらい続…

ネットの海は広大でわたしはとても孤独なのだ

パソコン通信の昔からネットの向こうに依存しまくりの精神生活で、私の精神はほぼネットの海の中に存在している。ゆりかごから墓場まで、目覚めから就寝まで。 しかし、ここ数年、SNSがどんどん居心地悪くなってきていることも事実だ。見たくもない他人同士…

雨の夜に

風を切るように心が弾んだあとは きっと転がりすぎて怪我をして 痛みに耐えながら決意する 低温で低空飛行で進んでいこう 凍りついた動かぬ心で だからお願い闇よ雨よ 一足ごとに冷やして私を冷やして 二度と弾めぬよう温まれぬよう

今日の私も明日はいない

学生時代は週末の夜にオールナイトで映画を見るのが楽しみだった。土曜日が休みのような時代ではなかったので、午前中は大学で講義を受け、午後からバイト。就職活動のための資金が必要だった。そして20時頃から自転車で繁華街へ出かけ映画館へ入る。贅沢な…

that is the question

沢山の選択肢があって沢山の答があって みんな間違っていてみんな正しくて 考えれば考えるほど立ち止まるしかなくなって だからいつも過去ばかり振り返り 耳を澄ませ空を見上げ風に吹かれてる気がします 何かを選ぶのも何かを選ばないのも 常に唯一無二の選…

いまはこぎいでな

潮時 わかってる 一年半も前から 痛いほど 留まる意味はない ただ行き場がない 行きたい場所も 心を埋める約束も そして今日も 空を見上げる 澱みの上で

射程距離

弾は届かない どんなに狙いを定めても 圧倒的な時の壁

Good bye

風が運んでゆくだろう わたし自身さえだから寂しがらなくていい初秋の海で帆を立てて 一人ここから旅立とう遠い遠い空の下 遙か彼方の海原でいつか君に会えるだろうか

またね

命の道は孤独な片道通行。 寂しくても悲しくても一人で歩むしかない。だからね、たまに誰かの道と交差して、 ひととき一緒に過ごせたら嬉しい。ほんの短い時間でも、 心が寄り添えたら幸せだと思う。そんな時間が行く手のどこかにあるならば、 独り淡々と歩…

Midsummer Night’s Dream

儚く短い夜に見る夢は なくしてしまったこころの欠片 焦がれて忘れた涙の欠片 舞い上がってゆく みんなみんな 白む空へ溶けてゆく 君の名残りの朝露は きっと甘くてしょっぱいだろう ☆★☆

遠い日は微かな星

変わりすぎてしまったから もうなじめないから 追わないでください 引き留めないでください フェイドアウトさせて 思い出が輝いているうちに ☆★☆

everywhere

自分なんてどこにもいなくて、どこにもいる。 大人ロボットを着込んで操縦している私。 目の前の人が自分に期待しているのではと想像する殻をかぶって、 各々の殻に用意されたプロトコルを実行するロボット。 そんなのは子供の頃からだった。 そしていつのま…

さよならだけが人生ならば

終わりをどう迎えるかはとても大切だ。 けれど、理由もなく必要もなく、 自ら終わりを決意するのは難しい。 美しくないと分かっていても、 刹那の甘さにしがみついてしまう。 明日のために何かを終わらせる勇気を。